ネタ蒔き時
ネタ蒔き時の枕草子 番外編「統率者戦をやった事の無い人にこそオススメしたい!一万円統率者のススメ」
君たちが行きつけのショップへ足を運んだ時、ショーケースに普段トーナメントでは絶対に見かけないようなカードが飾られているのを見たことはないだろうか?
重すぎたり妙な効果だったりするカード達が驚くような価格で取引されている。《倍増の季節/Doubling Season》や《飢餓の声、ヴォリンクレックス/Vorinclex, Voice of Hunger》が《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》や《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》より高いだって!?なんてことだ!
これらは統率者戦の人気によるものだ。ジャッジ達の間でEDHと呼ばれ親しまれてきたこのカジュアルフォーマットは、今や世界的な人気フォーマットとなった。私の知る限り、これほどポピュラーなカジュアルフォーマットは他に存在しない。
統率者戦はその性質から普段のマジックよりもパーティゲームの要素が強く、意外なカード同士のシナジーや奇妙なコンボの飛び交う世界だ。トーナメントプレイヤー達が普段目にしないカード達が乱舞する光景は実に興奮するものだ。
しかしその独自性からある意味敷居が高いのも事実だ。《魔力の墓所/Mana Crypt》や《荊州占拠/Capture of Jingzhou》、《伝国の玉璽/Imperial Seal》と言った超高額カードの飛び交う世界でもあり、これらを入手する事は金銭的にも精神的にも非常に大きなハードルだと言えるだろう。
勿論それらのカードを使わずとも統率者戦を楽しむ事は出来る。しかし「使えるのなら使うべきカードを様々な事情から諦めざるをえない」という状況はそのゲームへの情熱に対して水を差す要素となってしまう。「冷めてしまう」事はゲームを楽しむうえでの大敵だ。
私もそれが気がかりでこれまで統率者戦を遊んでこなかったのだが、実に良い解決策が最近になって発見された!そのルールは下記のようなものだ。
- ・デッキ全体の合計金額をENNDALGAMES店頭価格で1万円以内に抑える
- ・ただし「統率者本人」と「店頭価格で99円以下のカード」は0円として換算する
デッキの合計金額に制限を課すことは様々な良い要素を含んでいる。1万円に限定する事は単純にこれから統率者戦を始めようというプレイヤーにとって安心できるし、店頭価格が一種のリソースとして機能するため、普段とは違う目線でカードを評価する事が出来るのだ!
プレイヤーならだれしもカードの効果とコストを比較している事だろう。《ショック/Shock》と《稲妻の一撃/Lightning Strike》の効果だけを見れば《稲妻の一撃/Lightning Strike》の方が明らかに優れているが、コストの要素が加わる事でどちらを使うべきかは常にゆらめく。店頭価格も同じ事で、非常に強力だが3000円の「枠」を取るカードと、それには劣るが800円の「枠」だけで済むカードのどちらを選ぶべきかという葛藤はマジックというゲームにこれまで存在しなかった新しい視点だ。
この視点に立つと、《Demonic Tutor》でなく《魔性の教示者/Diabolic Tutor》をつかうことが単なる妥協ではなく戦略的な選択に変わる。やむに止まれぬ消極的な選択があえてそうする能動的な選択に変わる事でそのゲームに対するモチベーションは全く違ってくるだろう。
また統率者自身と99円以下のカードを0円換算するというルールもゲームの楽しさに寄与している。お気に入りの統率者を「枠」を余計に食うからという理由で諦めるのはつらい事だし、安いカードであっても塵も積もれば結構な金額になるため、「枠」の配分における自由度を侵害してしまう。これらの例外を作る事でリソースをどのように分配するのかという楽しさにより集中できるようになるのだ!
ひとつ付け加えると、店頭価格については「特価品やプレイドでなく」「日本語もしくは英語」「通常セットだけでなく特殊セットや構築済みも含んだ」最安値を参照する。いくつかのカードは日英の価格差が大きかったりするが、実際に使うのがどちらであってもより安い方の価格に合わせてもらって構わない。
これを読んでくれた諸君が実際に遊ぶ時には行きつけのショップに併せて価格設定をいじってもらって構わないが、この例外項目についてはそのまま保持する事を強くお勧めするよ。
さて、それでは最後に私がいま遊んでいるデッキを紹介させてもらおう。マナベースがタップインに偏りがちな環境にあって基本土地を潤沢に用い、速度とコンボを兼ねそろえた自慢のデッキだ!
それではまた次回逢う日まで、充実した統率者ライフを!