ネタ蒔き時

ネタ蒔き時の枕草子 第十九話「さらば死儀礼!男の涙は一度だけ!!」
2018年7月2日、この日は世界中のレガシープレイヤー達にとって忘れられない日となることだろう。レガシー環境を支配していた2枚のカード、《死儀礼のシャーマン》と《ギタクシア派の調査》の禁止は非常にセンセーショナルなものであったが、いずれこうなる事は誰の目から見ても明らかだったのでそこまで大きな驚きは無かった。
よく「1マナのプレインズウォーカー」などと称される《死儀礼のシャーマン》はその圧倒的なマナ効率と万能性により環境を完全に支配していた。グリクシスデルバーと四色レオヴォルドは《死儀礼のシャーマン》を最も効率的に活用するデッキであったが、今後はこれほど無茶なマナベースを要求しつつも安定した動きが出来るデッキは出てこないだろう。
《ギタクシア派の調査》に関しては《死儀礼のシャーマン》ほどの派手さは無いものの、その効率性と得られる情報のアドバンテージは看過できないものであった。レガシーは極限まで最適化されたマナ効率のカードが採用される。その代償として多くのリアクションカードはその対象やタイミングが限定されている。《ギタクシア派の調査》はそれらをすべてさらけ出させる事でそれらの価値を大きく棄損させる。《もみ消し》や《目くらまし》などはその代表だろう。それに加えて《陰謀団式療法》や《若き紅蓮術士》とのシナジーは強烈で、3ターン目にして手札を丸裸にされた事のあるプレイヤーも多いだろう。
多くのプレイヤーに愛され、そして憎まれたこれらのカードは7月5日を最後に環境から退場し、そして新しいレガシー環境が訪れる。長らくグリクシス一強状態であったレガシーはどのような動きを見せるのだろうか?今回の禁止は《師範の占い独楽》が禁止された時と同等かそれ以上の大変動をもたらす事だろう。そこで今日は私の考える新環境デッキを紹介したいと思う。この予想が正しいかどうかはわからないが、楽しんでくれたなら幸いだ!
1.ティムール・デルバー
レガシーの顔であるデルバーデッキはその構成の大部分を6年前まで戻す事になるだろう。《もみ消し》を入れたマナ否定戦略型に回帰し、《タルモゴイフ》がファッティの代表に返り咲く事だろう。《ギタクシア派の調査》がなくなる事で《若き紅蓮術士》が減少すると予想できるため、《わめき騒ぐマンドリル》は以前ほど重要ではなくなる。《死儀礼のシャーマン》退場によって《真の名の宿敵》や《トレストの使者、レオヴォルド》のような3マナ域を運用する事がずっと難しくなる。これらを総合すると、おそらくデルバーはティムールに落ち着くのではないかと考えている。
2.白青ミラクル
今回の禁止改訂で一切影響を受けなかったデッキがミラクルだ。《師範の占い独楽》があったかつての強さはないが、その堅実なデッキパワーはいまだ健在であり、他のデッキがパワーダウンする事も相まって相対的な強化がなされた。デルバーの主流がグリクシスからティムールに移る事で《剣を鍬に》や《終末》の信頼性が落ちる為、《至高の評決》がより重要なカードになってくるだろう。
3.赤単プリズン
このデッキも白青ミラクル同様、失うものが無かった事で相対的な地位が向上したデッキの1つだ。プレインズウォーカーを多用するようになったことでアドバンテージ勝負に強くなり、ドラゴンストンピィと呼ばれていた頃に比べ遥かに柔軟で力強いデッキになっている。後述するスニークショーの事を考えると今後も《罠の橋》は減らせそうにない。
4.スニークショー
グリクシスデルバーの弱体化によって最も恩恵を受けたデッキがスニークショーだ。元々デルバーというデッキ自体がコンボに対して強いのだが、グリクシスデルバーの場合はそれに加えて手札破壊を多用してきた。手札にコンボパーツを貯める必要があるスニークショーにとってはこれが何よりも辛かった訳だが、そんな時代はもはや終わり、再起の時が来た。
これら以外にも黒赤リアニメイトやドレッジのような墓地利用系デッキ、《聖遺の騎士》を用いたミッドレンジ、《壌土からの生命》を使いまわす古き良き土地デッキなどなど、可能性のあるデッキは山ほどある!私の友人も「これでまたゴブリンを使う事が出来る!」と息巻いていた。環境の変化がゆっくりとしているレガシーにおいて今回ほどの大規模な変化はそうそう無い事だ。どのデッキにも可能性があり、開拓の余地はたっぷりと残されている。私も新しいレガシーを遊ぶことが楽しみだし、これを読んでくれたみんながレガシーを楽しんでくれたら幸いだ!