ネタ蒔き時

ネタ蒔き時の枕草子 第十一話「ダイスの用意は十分に」
一枚のカードから無限に織りなされるシナジーの連鎖はいつだって美しいものだ。
《適者生存》はこのゲームを象徴するカードの1つだ。その無限の汎用性と安定性は数多くのトーナメントデッキを生み出し、数多のプレイヤーを虜にした。――そして余りにも強すぎたために多くの環境で禁止カードに指定されてしまった。
今ではヴィンテージでしか使う事の出来ないこのパワーカードをなんとか適正なパワーレベルで作り直せないかと何枚かのリメイクが作られ、その中でも人気を博したカードがある。今日はそんな数奇な運命から生まれた《獣相のシャーマン》をテーマとして取り上げよう。在りし日のRec-SurやATSを愛した諸君、今日の記事は必見だ。
《獣相のシャーマン》は多くの面で《適者生存》の力を受け継いでいる。2マナで唱えることができ、能力の起動には緑マナ1点とクリーチャーカードを捨てる必要がある。サーチ対象に制限がない事も《適者生存》と同じだ。異なる点は2/2のクリーチャーである事と起動にタップが必要である事。このことから必然的に唱えたターンには起動が出来ず、1ターンに1回しか起動が出来ないという弱点も併せ持つ事になる。これらの弱点をいかに克服し、《適者生存》に近づけさせるかが腕の見せ所というわけだ。
それではリストをご覧頂こう。
Winding Fittest
- 4《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
- 4《花盛りの湿地/Blooming Marsh》
- 4《草むした墓/Overgrown Tomb》
- 4《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》
- 5《森/Forest》
- 3《沼/Swamp》
- 4《桜族の斥候/Sakura-Tribe Scout》
- 3《円環の賢者/Gyre Sage》
- 1《絡み根の霊/Strangleroot Geist》
- 4《獣相のシャーマン/Fauna Shaman》
- 4《巻きつき蛇/Winding Constrictor》
- 1《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
- 1《ベラドンナの行商人/Nightshade Peddler》
- 1《毅然さの化身/Avatar of the Resolute》
- 1《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger》
- 1《ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabob》
- 1《永遠の証人/Eternal Witness》
- 1《再利用の賢者/Reclamation Sage》
- 1《肉袋の匪賊/Fleshbag Marauder》
- 1《スパイクの飼育係/Spike Feeder》
- 1《ピーマの改革派、リシュカー/Rishkar, Peema Renegade》
- 1《新緑の機械巨人/Verdurous Gearhulk》
- 1《搭載歩行機械/Hangarback Walker》
- 1《歩行バリスタ/Walking Ballista》
- 3《硬化した鱗/Hardened Scales》
- 4《致命的な一押し/Fatal Push》
大量のマナ加速と《獣相のシャーマン》、そして散りばめられた1枚刺しのクリーチャー達。《適者生存》ファンが愛してやまない美がそこにある。まずは《桜族の斥候》や《円環の賢者》でマナを伸ばそう。特に《円環の賢者》の後に《巻きつき蛇》を唱えれば+1/+1カウンターが2個乗るという事は覚えておこう。《獣相のシャーマン》が無事着地したらまずは《スクリブのレインジャー》をサーチ、これで毎ターン《獣相のシャーマン》が2回起動できるようになる。戻した土地は《桜族の斥候》で出しなおす事でマナ加速として利用する事が出来る。ここまでくればあとは独壇場だ。《巻きつき蛇》と《スパイクの飼育係》によって+1/+1カウンターはマナが許す限り無限に増殖し、それを《円環の賢者》に移していく事で使えるマナも加速度的に増していく。相手のクリーチャーは《歩行バリスタ》が薙ぎ払う。デカブツを出してきた場合は《ベラドンナの行商人》を添えてやればOKだ。スタンダードでもお馴染みの《巻きつき蛇》《ピーマの改革派、リシュカー》《新緑の機械巨人》パッケージも勿論搭載済みだ。
気が済むまで盤面を構築しきったなら、あとは巨大な自軍クリーチャー達で相手を踏み潰すだけだ。このデッキを使う上で最も重要な事は十分な数のダイスを用意することだ。このデッキが動き出すと信じられない数のカウンターが沢山のクリーチャーに次々と置かれていく。ダイスが足りなくてカウンターを乗せられないなんて事が無いよう十分に気を付けてくれ!
また例によってサイドボードについては割愛している。販売されているデッキにはサンプル用のサイドボードが付属しているので、まずはそれを使ってみて、そのあと自分の周りのデッキに併せて自由にカスタマイズしてくれ!
今日はここまでだ。《適者生存》の懐かしい息吹を感じてもらえたのなら幸いだ。次回は少し前のスタンダードで猛威を振るった「あの小動物」にスポットを当てたい。
それまでの間、あなたのスリーブが幾多のシャッフルに耐えますように。