ネタ蒔き時
ネタ蒔き時の枕草子 第九話「デスクラウド地獄変」
マジックをやっていると、自然と自分の好みの戦い方が出てくるものだ。私の場合、相手のリソースを根こそぎ奪い、圧倒的なリソース差を生みだして勝つのがたまらなく好きだ!そんな私が愛してやまないカード、《死の雲》が今日のテーマだ。
私のコラムでは今回から第十七話までをかけて、モダン入門用デッキの紹介を毎週お届けしようと思う。イクサランの発売を直前に控え、モダンは今まで以上にアツいフォーマットだと言えるだろう。しかしモダンのカードプールは膨大で、例えるなら足場のないプールのようなものだ。いきなり飛び込めば足をつるかもしれないし、溺れてしまう可能性もあるだろう?
そこで私はこれからモダンを始めようと考えているプレイヤー向けのデッキを九種類用意した!そしてそれらすべてにそれがどのようなデッキなのかを解説した記事を添え、皆がスムーズにモダンを楽しめるようにしたいと考えている。この強力なボンベとフィンさえあれば、皆のスタートはとても順調なものになることだろう!
さて、退屈な前置きはこれぐらいにして、早速今回のデッキを紹介しよう!
緑黒エターナル・デスクラウド
- 4《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》
- 3《永遠の証人/Eternal Witness》
- 2《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》
- 2《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
- 2《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》
- 4《致命的な一押し/Fatal Push》
- 4《明日への探索/Search for Tomorrow》
- 4《ゴルガリの印鑑/Golgari Signet》
- 3《突然の衰微/Abrupt Decay》
- 2《壌土からの生命/Life from the Loam》
- 2《ヤヘンニの巧技/Yahenni’s Expertise》
- 4《死の雲/Death Cloud》
- 4《花盛りの湿地/Blooming Marsh》
- 4《森林の墓地/Woodland Cemetery》
- 4《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
- 2《亡骸のぬかるみ/Mortuary Mire》
- 7《森/Forest》
- 3《沼/Swamp》
デスクラウドデッキはそのご先祖様である《悪疫》がそうであったように、互いのリソースを大きく削り、わずかに残った継続的なリソースによる勝利を目指すデッキだ。普段であればどうという事もない《ミシュラの工廠》や《冥界のスピリット》といったカードが無人の荒野を延々殴り続ける光景はデスクラウドプレイヤーにとって至福のひと時だ。しかしプレインズウォーカーという近代兵器が登場した現在では、より盤面への制圧力を高めるために彼らが多く採用されており、昔ながらの《冥界のスピリット》ファンの1人としては若干の寂しさも感じてしまうね!
デスクラウドを上手に使うにはマナ加速が欠かせない。《暗黒の儀式》のような一時的なマナ加速を除けば、基本的にデスクラウド解決後には自分の土地が3枚(とプレインズウォーカー各種)が残った状態になる。この時に相手の盤面が出来るだけ何もない状態にするためにはマナランプを用いて相手とのマナ差を3以上つける事が必要になる。一例を挙げれば、1ターン目に《明日への探索》待機、2ターン目に《桜族の長老》か《ゴルガリの印鑑》、3ターン目に《真面目な身代わり》と動けば4ターン目に7マナ使用する事が出来る。4ターン目といえばリソースの総量は通常11枚か12枚であり、仮に対戦相手のリソースが4枚の土地、3体のクリーチャー、4枚の手札だとすれば、こちらのX=4の《死の雲》で相手のリソースは全てなくなってしまうのだ!こちらには3枚の土地と《真面目な身代わり》による1ドローが残されており、リソース差は圧倒的だと言えるだろう。
しかしモダンは非常に速い環境であり、これらの動きをただ漫然と行っていては《死の雲》を決める前に圧倒されてしまう事もあるだろう。そこで軽い単体除去が活きてくる。カラデシュ次元が生んだ稀代の名作である《致命的な一押し》を筆頭に、その万能性に全ゴルガリファンが歓喜した《突然の衰微》、そして盤面の一掃とマナランプを同時に行う事が可能な《ヤヘンニの巧技》といった布陣が《死の雲》にたどり着くまでの時間を稼いでくれることだろう。
そしてこのデッキにはもう1つのシークレットテクが搭載されている!1度の《死の雲》でさえ絶望的なリソース差を生み出すのに、もしそれが何度も何度も繰り返し訪れるとしたらどうだろう?そんな夢のようなコンボがこのデッキでは実現できる!手順はこうだ。まず普通にマナランプして《死の雲》を打つ。この時に《亡骸のぬかるみ》があればそれを生け贄に捧げよう。その後《永遠の証人》を唱えて《死の雲》を回収、《壌土からの生命》で生け贄に捧げた土地も戻しておこう。そして再びの《死の雲》で《永遠の証人》を生け贄に捧げ、今度は《亡骸のぬかるみ》で証人を回収するのさ!これによって《亡骸のぬかるみ》→《永遠の証人》→《死の雲》→《壌土からの生命》というループが完成し、対戦相手のリソースは二度と増える事がなくなるのだ!
このコンボは狙ってまでやるものではないし、決まるパターンもそう多くはないだろうが決まった時の爽快感は私が保証しよう!黒いデッキを使う醍醐味と言うべき至福の瞬間が待っているぞ!
さて、以上で今回のデッキ紹介は終了となる。サイドボードについて言及されていなかった事を不思議に思う人もいるかもしれないが、サイドボードはその地域ではやっているデッキ傾向によって大きく変わってくるため、包括的な解説を目的とする今回はそれを省略しているのだ。ENNDAL GAMESで販売しているバージョンのデッキにはサンプル用の簡単なサイドボードが付属されているので、最初はそれを試してみて、それから君たちの環境に合わせてバージョンアップしてみてくれ!
それではまた来週、レガシーで禁止された「あのカード」を彷彿とさせるデッキ紹介でお会いしよう。
その日まで、あなたの土地が伸び続けますように。