ぶるじょわの絶対に知っておきたい統率者とそのコンボ9選
やぁ、ぶるじょわだ。いきなりだが、時をこえた探索が禁止される前のレガシーで猛威を振るったオムニテル(※1)の《蟻の解き放ち》や、神河~ラブニカ期のスタンダードで活躍した禍我シュート(※2)のデッキ名にもなった《現し世の裏切り者、禍我》など、トーナメントシーンで一世を風靡したデッキに著しくカードパワーの低い、いわゆるクソカードが採用されていることがあるのをご存知だろうか。もちろんそれらのクソカード達は俺めっちゃ蟻好きなんだよね!バグズ・ライフ最高!みたいなしょうもない理由ではなく、調整の先に辿り着いたしっかりとした理由に基づいて採用されているのだが、それでも一定以上のスペックをもつカードで固められた75枚のリストの中にクソカードが混ざっているのをみると、どうしても笑ってしまうのは自分だけではないはずだ。

さて、というわけで今回はそんな何故かデッキに真っ当な理由を持って採用されてしまうクソカードを、統率者戦を舞台に紹介していきたいと思う。統率者戦はレガシー以上にカードプールが広く、加えて統率者領域なる第二の手札のおかげで統率者と相性が良い、という理由だけで大抵のカードが許されてしまうため、とにかくクソカードが採用されやすいフォーマットなのだ。《太陽の指輪》と《摩滅したパワーストーン》の同居が許されてしまうハイランダールールもクソカードには追い風だろう。では、ストレージにすら残さずゴミ箱に捨てたであろうカード達の活躍を楽しんでいってくれ。
※1 《実物提示教育》から《全知》を出すコンボデッキ。《狡猾な願い》で持ってくることができるインスタントタイミングの勝利手段として《蟻の解き放ち》を採用している。
※2 《春の鼓動》と《早摘み》を活用してマナを増やし、致死量のX火力として《現し世の裏切り者、禍我》や《火想者の発動》を打ち込む中速デッキ。サーチカードとして採用されていた《奇妙な収穫》と《幻の漂い》の両方から持ってこれる勝利手段として《現し世の裏切り者、禍我》が採用されていた。
白 《希望の天使アヴァシン》の《世界薙ぎの剣》
かっこいいけど何がしたいんだかよくわからない装備品ランキング(俺調べ)のかなり上位にくる《世界薙ぎの剣》にもようやく最高の相方がみつかった。自身のみ破壊不能のため、《世界薙ぎの剣》をつけて殴ってもまっさらな盤面に微妙なパワータフネスの統率者がのこるだけの《永岩城の君主、今田》や《コルフェノールの若木》の時代は終わったのだ。《希望の天使アヴァシン》なら自分の全てのパーマネントを残したうえにステータスも武士道状態の今田相当の8/8。侍と天使、なぜここまで差がついてしまったのだろうか。
青 《アーカム・ダグソン》の《ドロスの蠍》
《アーカム・ダグソン》は若干の制限こそあるものも、ほぼ《修繕》の起動型能力をもつ強力なジェネラルだ。その能力を活かして《ダークスティールの反応炉》+《ネビニラルの円盤》・《マイコシンスの格子》+《無のロッド》あたりのゲーム制圧セットや、《玄武岩のモノリス》+《ブライトハースの指輪》+《ゴブリンの大砲》の無限マナ無限ダメージセットなどの完成を目指すのがアーカムダグソンのゲームプランだが、能力にタップを含むため基本的には1ターンに一枚づつしかサーチできないという欠点がある。そこで活躍するのが《ドロスの蠍》だ。
アーカムダグソンの能力のコストはよくある「(タップ)アーティファクト・クリーチャーを一体生贄に捧げる:~」ではなくタップのみのため、場に《ドロスの蠍》がいる状態でドロスの蠍以外のアーティファクトクリーチャーを生贄に能力を起動し《マイコシンスの格子》をもってくると、《マイコシンスの格子》が場にでてアーカムダグソンがアーティファクトになったあとに《ドロスの蠍》のアンタップ能力が誘発し、アーカムダグソンをアンタップすることができる。早い話が《ドロスの蠍》がいればアーティファクトクリーチャーが続く限りアーカムダグソンの能力をいくらでも起動でき、一瞬でコンボが揃ってしまうということだ。そろそろ《ドロスの蠍》が《Power Artifact》や《ジェスカイの隆盛》ぐらいの強カードに見えてきたんじゃないかな?
黒 《骨齧り》の《害獣の疫病》
MTGには弱いカードになりやすいタイプのデザインがいくつかあり、「競り」はその代表的なもののひとつだ。しかし統率者戦にはそんな競りカードをフィニッシャーとして活用する統率者がいる。鼠マニア御用達の《骨齧り》だ。《骨齧り》が開く《害獣の疫病》という名の競りは、主催者の大勝利が約束された、まさに悪徳オークションと呼ぶにふさわしいものなのだ。鼠の数を倍にできる《骨齧り》のコントローラーはいうならばひとりだけ半額セール状態で競りに参加しているようなものであり、それだけの不平等にも関わらず他のプレイヤーは生き延びるために損することがわかった上で競りへの参加を強制される。骨齧りィ?どうせ《執拗なネズミ》ばっか入ったファンデッキだろ(笑)みたいなことを言う奴をカモにしてやろう。
赤 《鉤爪のジィーリィーラン》の《テル=ジラードの鉄筆》
《鉤爪のジィーリィーラン》はコストを踏み倒してデッキから直接ドラゴンを呼び出すことができるが、統率者戦のルールの都合上赤単色のドラゴンしかデッキにいれられないため選択肢がせまく、ゲームが終わる前にもってくるドラゴンがなくなってしまうこともしばしばある。そこで《テル=ジラードの鉄筆》だ。ターン終了時に追放される前にドラゴンをデッキに戻してやれば、弾が切れなくなるどころか《ボガーダンのヘルカイト》や《Thunder Dragon》のような強力なCIP能力を繰り返し使うことも可能になる。ここまで何もしなそうな鉛筆だか鉄筆だかですら活躍の場があるのだから、ドラフト14手目界の大御所《鮮明のレンズ》さんもいずれ何かを成し遂げてくれるのかもしれない。緑 《クローサの庇護者シートン》の《森林地帯のドルイド》
ついにただのバニラクリーチャーの登場だ。これが許されるなら《灰色熊》や《丘巨人》だってありじゃないか!なんていわれそうだが、もちろん《森林地帯のドルイド》でなければならない理由がある。彼は《クローサの庇護者シートン》が求めてやまない貴重な1マナドルイドなのだ。
種族に目をつむれば《クローサの庇護者シートン》のマナ能力はモダンやレガシーのエルフデッキの軸である《遺産のドルイド》と同等、小回りがきくことを考えればそれ以上の性能なのだが、如何せんエルフに比べてドルイドは圧倒的に選手層が薄い。《イラクサの歩哨》や《エルフの幻想家》のようなエースがいないのはもちろん、そもそもドルイドが少数部族すぎて親和エルフならぬ親和ドルイドを目指すには頭数が足りないのだ。そこに更にハイランダーなんて制限までかけたものだから、最早《ボリアルのドルイド》は色マナがでないから弱いよね~なんてボヤく余裕はなく、古今東西ありとあらゆる1マナのドルイドをデッキに採用せざるをえなくなってしまったのが統率者《クローサの庇護者シートン》だ。統率者領域から確実にプレイできる《遺産のドルイド》は、バニラクリーチャーを喜んでデッキに入れたくなるだけの見返りを与えてくれるのでいくらなんでも1/2バニラは…なんて人も是非一度試してみて欲しい。新セットがでるたびに1マナドルイドを探すようになるはずだ。
と、まぁ最もらしい理由とともにバニラクリーチャーがデッキに入ることが許されるのは、統率者戦広しといえど《クローサの庇護者シートン》だけだろう。僕は《ジャスミン・ボリアル》を統率者にしてバニラクリーチャーを沢山いれた《ムラガンダの印刻》デッキを使ってるよ!なんて人がいたら謝るから是非名乗り出てくれよな。
多色 《血の調停者、ヴィシュ・カル》の《血の壁》
黒を含む統率者の評価基準のひとつに《憎悪》適正がある。飛び交う無限コンボの影に隠れて忘れられがちだが、統率者戦には一人のプレイヤーに統率者で21点以上の戦闘ダメージを与えればライフがいくらあろうとも即座に倒せるというルールがあるため、一枚でパワーを21まであげることのできる《憎悪》は初期ライフが40ということもあってかなり有用な勝ち手段のひとつなのだ。そのため黒を含む統率者は回避能力や、マナコストの軽さといった憎悪適正を測られることになるが、その中でも一部コミュニティではMrヘイトレッドと呼ばれるほどに憎悪適正が高いのが《血の調停者、ヴィシュ・カル》だ。《裏切り者グリッサ》や《ボガートの汁婆》のような憎悪適正上位勢と比べてマナコストこそ重いものも、回避能力に加えて絆魂によるキャッシュバックキャンペーンまでついてくる統率者は《血の調停者、ヴィシュ・カル》だけ(※3)なのだ。
そしてそんなMrヘイトレッドが《憎悪》よりも優先してサーチする《憎悪》が《血の壁》だ。こちらは奇襲性こそおちるものも、マナコストも軽くなり修正もターン終了時になくならないといいこと尽くめだ。旧ミラディン発売時に一瞬話題になった《手綱取り》+《血の壁》コンボがより現実的な形で蘇ったともいえるので、当時を懐かしんで使ってみるのもいいかもしれない。余談だが、《血の壁》、《憎悪》に加えて第3、第4の《憎悪》が欲しい欲張りな人にも《ファイレクシアの処理装置》や《荒廃の下僕》が待ってるから安心してくれ。
※3 《グリセルブランド》は発売と同時に統率者戦禁止カードに指定された。
多色 《艦長シッセイ》の《審判の日》
《審判の日》は普通に強いカードだろ!と突っ込んだ諸君、残念ながらこのフォーマットは《神の怒り》が使えるんだ。では何故《神の怒り》ではなくわざわざ《審判の日》なのか。それは《艦長シッセイ》が《ヤヴィマヤのうろ穴》をサーチすることができるからだ。再生を許す劣化《神の怒り》に見えてしまう《審判の日》にも、弱くなったからこそできる《神の怒り》にはできない役割がある、っていうとなんかいい話っぽくきこえるよね。多色 《地下牢の管理人、グレンゾ》の《運河浚渫機》
よし、とりあえず『運河浚渫機を表向きの状態でドラフトする。各プレイヤーは各ブースターパックの最後のカードを、「運河浚渫機」という名前のカードをドラフトしたプレイヤーに渡す。』の部分はもちろん統率者戦では何の意味ももたないから忘れよう。これで大分すっきりしたカードになったはずだ。グレンゾの能力はライブラリーの下からクリーチャーを出す他に類を見ない能力のため、サポートできるカードが少なく、こんなテキストの半分が無意味なカードでも採用せざるをえない。ほぼ同じ能力をもつ《ごみ引きずり》と《運河浚渫機》、《稲妻のすね当て》等の速攻を持たせるカード、《クラーク族の鉄工所》のような二匹を2マナに変換するカードがあればライブラリーの下から二匹が交互に飛び出し続け、《ゴブリンの名手》や《血の芸術家》と合わせてフィニッシュすることができる。コンボパーツが弱いって?クリーチャーの部分は全部X=0のグレンゾからでも場にでるんだから我慢してくれ。
多色 《怒れる腹音鳴らし》の《偵察行》
《怒れる腹音鳴らし》の能力をみた統率者プレイヤーの誰もが一度は14枚土地を投げれば一人退場、42枚土地をなげれば全員退場…なんてのを考えたことだろう。そして必要な土地の枚数に折れ、感染やラースの灼熱洞といった現実的な方向に戻っていくのまでがテンプレだ。ところがそんな馬鹿げた妄想を実現してくれるカードがある。それが《偵察行》だ。《偵察行》があれば戦闘ダメージを与えたときに確実に三枚土地が手札に入るようになるのはもちろん、《怒れる腹音鳴らし》に《鋭い感覚》のようなカードがついていれば積み込んだ土地を全て投げきることができる。腹音鳴らし投手、42イニング完投だ!
さて、まだまだ紹介したいカードはあるが今回はこれぐらいにしておこう。世界には《テル=ジラードの鉄筆》の動向を見守る以上に有益なことがいくらでも存在するんだ。サイト移転一発目とは思えないほどに明日役立つ情報のない記事になったが、統率者戦プレイヤーはもちろん、普段統率者をやらない方にも楽しんでいただけたのなら幸いだ。次回、は今のところ未定だが反響次第では第二回があったりなかったりするので余裕のある方には是非アンケートに回答していってほしい。
それでは、良い統率者戦を。
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ぶるじょわ先生の統率者記事はいかがでしたでしょうか。
今後もENNDAL GAMESではいろいろなMTGの記事を掲載していく予定です。
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